拝啓 一人ぼっちのきみへ

ベッドに横たわり、目を瞑ると決まって一人ぼっちになれる。1日の終わりは必ず一人が良かった。

 

どんなに好きでも、誰かと寄り添って眠ることが苦手。

 

かわいくないな、全然。

 

いつからだっけ、こんなになったのは。

 

 

 

 

小さい頃から、手のひらとか足の踵なんかの皮膚の角質が硬くて、ずっと嫌いだった。

 

小学生で習い始めた剣道のせいで、足の小指の爪と踵はボロボロ。

 

歯並びだって、噛み合わせが悪いのを隠すようになって、知らず知らずに形を作った今の口元も心の底から大嫌い。

 

天然パーマの髪の毛はセットしないと見られない程だし、寝顔もかわいくなくて絶対に見せられない。

 

 

 

気付いたら、身体のあちこちにある欠陥をそんな風に気にするようになった。

 

 

 

 

思春期を迎え、男の人を好きになって、身体を重ねる機会もあった。

 

何度身体を重ねても、何度愛し合っても、自身が常にベストな状態でいないと簡単に嫌われてしまうような気持ちでいっぱいになった。

 

心のどこかでずっとそう思って生きてきた。

 

 

 

 

誰が悪いわけでもなくて、自分自身を責めるつもりもないけど、

 

 

時々、本当に時々、誰かに駄目なところも弱いところも知って欲しいと、気付いて欲しいと愚かにも願ってしまう。

 

 

1日が終わるベッドの上で、大切な人の眼差しと大好きの一言で、魔法が溶けたみたいに毒で蝕まれた身体が軽くなる。

 

 

 

そんな夢をずっと見続けている。

 

 

 

 

 

 

 

もう夜が深い。

 

弱い自分を守るようにタオルケットに包まり、一人ベッドに横たわる。

 

今日も1日が終わっていく。

 

 

今日も明日も、この先もずっと月が沈み、太陽が昇って、暗い闇に光が差す。

 

 

 

眩しいと目を開けば、また醒めない夢が始まる。