ベッドに横たわり、目を瞑ると決まって一人ぼっちになれる。1日の終わりは必ず一人が良かった。 どんなに好きでも、誰かと寄り添って眠ることが苦手。 かわいくないな、全然。 いつからだっけ、こんなになったのは。 小さい頃から、手のひらとか足の踵なんか…
8月の終わり。会社を出ると、東京の夜風は少しひんやりと気持ち良くて、乗るはずのバスを見送り歩き出す。あの日の歌を聞きながら歩みを続けると、涼しいとはいえまだ夏。少し汗ばんだ肌を感じながら、自転車と彼、緊張の中ただ前を見つめながら歩いたあの暑…
春は出逢いと別れの季節とはよく言ったもので、今年も大好きな職場の先輩を見送った。幾度となく経験しても別れは切なくもどかしい。遠い昔、大学四年生の頃かな、ぼくは恋をした。初めての出逢いは素敵なものとは言えなかったけど、彼と過ごす何気ない時間…